もし生物情報科学専攻の大学院生が "StableDiffusion" を理解しようとしたら 9 ~Stable Diffusion②~

前回cake-by-the-river.hatenablog.jp 前回の続きです。今回は、image2imageに軽く触れたのち、主にサンプリングに関する技術をまとめます。この辺りは今までの話とは別の流れで、これまた難しめではあるので、可能な限り難しい理論には踏み込まないような説…

もし生物情報科学専攻の大学院生が "StableDiffusion" を理解しようとしたら 8 ~Stable Diffusion①~

前回cake-by-the-river.hatenablog.jp 今回は、いよいよStable Diffusionの元論文である Latent Diffusion Model (LDM) について解説し始めます。特に、そのモデル構造(潜在空間における拡散モデル, 分類器なし条件付け, など)を導くに至った経緯を主に解…

もし生物情報科学専攻の大学院生が "StableDiffusion" を理解しようとしたら 7 ~DDPM~

前回cake-by-the-river.hatenablog.jp 今回は、拡散モデルの最も重要な論文である Denoising Diffusion Probablistic Models (DDPM)を解説します。arxiv.org 前回の潜在変数モデルとしての側面(AutoEncoder)も持ちつつ、スコアベースモデルによる画像生…

もし生物情報科学専攻の大学院生が "StableDiffusion" を理解しようとしたら 6 ~VAE~

前回cake-by-the-river.hatenablog.jp今回は、拡散モデルの最も重要な論文である Denoising Diffusion Probablistic Models (DDPM)を解説します。DDPMを解説する予定だったのですが、基礎となるVariational AutoEncoder (VAE)など潜在変数モデルとその学…

もし生物情報科学専攻の大学院生が "StableDiffusion" を理解しようとしたら 5 ~NCSN~

前回cake-by-the-river.hatenablog.jp お久しぶりです。今回から肝心の拡散モデルを見ていこうと思います。今回は、スコアベースモデルを用いた Noise-Conditional Score Networks (NCSN) を解説し、拡散モデルの本題であり次回扱う Denoising Diffusion Pro…

もし生物情報科学専攻の学部生が "StableDiffusion" を理解しようとしたら 4 ~ViT & CLIP~

前回cake-by-the-river.hatenablog.jp 今回は、前回紹介したTransformerの自然言語処理能力を画像処理の方面に応用した Vision Transformer (ViT) や、Contrastive Language-Image Pre-training (CLIP) について紹介していきます。 ViT 元論文: arxiv.orgVi…

もし生物情報科学専攻の学部生が "StableDiffusion" を理解しようとしたら 3 ~Transformer~

前回cake-by-the-river.hatenablog.jp 今回は、今後頻繁に利用される自然言語処理のアーキテクチャである Transformer を紹介します。(Multi-Head) Attention からザックリですが解説を試みます。 Transformer 元論文: arxiv.orgTransformer は Google が 2…

もし生物情報科学専攻の学部生が "StableDiffusion" を理解しようとしたら 2 ~U-Net~

前回cake-by-the-river.hatenablog.jp 今回は、細胞など医用画像のセグメンテーション(画像の中から細胞の部分のみを取り出す)で用いられる U-Net を見てみます。途中で FCN についても扱います。 U-Net 元論文: arxiv.org 前回のAlexNetは、少ないサンプ…

もし生物情報科学専攻の学部生が "StableDiffusion" を理解しようとしたら 1 ~AlexNet~

かくびーが東大の生物情報科学科の学生になったのは、大学二年生の八月末日、夏休み半ばのことだった。 別にもしドラ読んだことないのでこれ以上はやめておきます。 さて、発端は以下のツイートです。そういえば、もし今度越境する知性会議あれば"Stable Dif…

2020春から2021春までに触れた本を振り返る

タイトルの通り、ここ一年で触れた(読んだ・読んでいる・途中まで読んだ)本について振り返ってみます。僕はあまり本の細かい部分を突き詰めるといったのは苦手で、数式を並べられた時しか真面目に読まない癖がありました。したがって、途中からは本で学ん…

数理生物学に入門してみる(3) 振動と波

今回は教科書の第3, 4章、授業では4~6, 10回目で扱った振動のモデル・時空間パターンについてまとめます。ホジキンハクスレー方程式やチューリングパターンについて触れます。 前回cake-by-the-river.hatenablog.jp 振動性・興奮性 振動の条件 Hodgkin-Huxle…

数理生物学に入門してみる(2) 入出力

今回は教科書の第2章、授業では2~4回目で扱った入出力のモデルについてまとめます。化学反応速度論から初めてフィードフォワードなどの回路の話までやります。 前回cake-by-the-river.hatenablog.jp 入出力の基本の式 結合と解離・Hillの式 ミカエリス-メン…

数理生物学に入門してみる(1) 力学系

東京大学教養学部後期課程には「数理生物学」という授業があります。自分はその授業を受講しているのですが、内容についてまとめることで学びになるだろうと思い、ブログの記事にしていくことにしました。なお、この授業の教科書として『細胞の理論生物学 ダ…

J.J.サクライ『現代の量子力学』を読むゼミをZoomで開いた話

J.J.Sakuraiの『現代の量子力学』の輪読自主ゼミをZoomで開きました。ゼミを開く上でやったことと問題点、またゼミで話題となった疑問点などの議論を載せています。

ゆるふわリー群論入門(6)随伴表現

この記事は、リー群と表現のざっくりふんわりとした解説記事の6本目です。今回は、リー環の構造を考え始めるために、生成子と構造定数、またリー環・リー群の随伴表現についてやります。2種類の微分を区別しつつ、また随伴という言葉の意味も考えつつ、キリ…

ゆるふわリー群論入門(5)連結・普遍被覆群 ~ Broaden His Horizons~

リー群論5本目です。局所的構造のリー環を大域まで拡げるため、指数関数による局所座標と多様体による新しい定義を扱い、指数写像expの全射・単射条件という観点から、単位元の連結成分(解析的部分群)・連結コンパクトリー群・普遍被覆群(単連結リー群)…

ゆるふわリー群論入門(4)リー環・行列の指数関数

リー群論4本目です。いよいよリー環(リー代数)について、交換子積・行列の指数関数・1パラメータ部分群という観点で考えます。また、等質性・ベクトル場という立場からも、接空間の元としてのリー環を考えます。

ゆるふわリー群論入門(3)多様体

リー群論3本目です。リー群を多様体としてみるために、局所座標系・アトラス・微分同相と解析的、といった考えを扱い、リー環につながる接(ベクトル)空間・写像の微分・逆関数定理について扱います。

ゆるふわリー群論入門(2)線形リー群

リー群論2本目です。一般線形群のもつ線形リー群の例(特殊線形群SL(n,R),SL(n,C),直交群O(n),特殊直交群/回転群SO(n),ユニタリ群U(n),特殊ユニタリ群SU(n),斜交群Sp(2n,C),ローレンツ群O(3,1))を見て、局所同型としての一般のリー群の定義を考えます。

ゆるふわリー群論入門(1)位相群

リー群と表現をふんわり解説しています。位相を持つ群に関して、群論・位相とは何か・近傍・境界と開集合・連続性・コンパクト空間・連結性と単連結などの位相空間論をイメージ含めてざっとやります。

分子からの群論解説(4)既約分解

既約表現への分解を考えます。準同型写像を抑えたのち、表現の直和(ブロック対角型)に分解するために、指標という量や①ユニタリ性定理②大直交性定理③次元数と位数の関係④指標の直交性、などの定理を扱います。

分子からの群論解説(3)群の表現

群の行列表現を考えます。群の元を自然な形で行列と対応させることが表現につながっているようです。一般線形群などは表現の一種で、共役や相似変換も行列で表せます。恒等表現など種々の表現も見てみます。

分子からの群論解説(2)共役類と剰余類で分類

群の分類を考えましょう。同値関係の規則と同値類への分解とは何か、また群論での重要な同値類である共役類や剰余類をざっくり見ます。軌道やその可視化であるケイリーグラフも扱います。

分子からの群論解説(1)群と対称性

群論とその表現について書いていきます。群の導入・共役類と剰余類・表現・準同型写像・大直交性定理や指標・既約分解をすんなりざっくり理解出来るになります。今回はアンモニア分子で群と対称性を考えます。

ブログをはじめます

はじめまして。かくびーと申します。 今は東京大学の1年生(2020/11現在2年生)で、とりあえず自習したことやら授業で知ったことやらを適当に書くつもりです。