前回
cake-by-the-river.hatenablog.jp
前回に引き続き、SE(3)不変/同変のための数学的な基礎を説明します。前回よりもっと難しいので、不明点はコメント等で教えてもらえるとありがたいです。
- 球面調和関数
- 球面調和関数による展開
- 球面調和関数とSO(3)同変性
- Clebsch-Gordan係数
- まとめ
- 補足
球面調和関数
前回「軌道量子数」を紹介した時、なぜ量子?と思われた方がいると思います。実は、この軌道量子数は電子の軌道と対応していることが知られています。
量子力学において、電子は原子核の周囲を「回っている」と考えられています。つまり、何かしらの軌道に沿って動いていることになりますが、粒子がそのような運動(角運動)をしているならば、対応するエネルギーを持っているはずです。量子の世界では、エネルギーは連続的ではなく離散的にしか取れないため(これは、量子が「波」であり、特定のエネルギー以外は打ち消しあってしまうからです)、電子の軌道もそのエネルギーに対応して離散的に分布しています。
この離散的な電子軌道には、s軌道やp軌道といった名前がついています。化学の本で次のような画像を見たことがある人は多いと思います。
球面調和関数。Wikipediaより引用。これらは、球面調和関数と呼ばれる関数です。球面調和関数は 1個, 3個, 5個, ...と種類が分かれていますが、この数値はSO(3)の各既約表現の次元と一致しています。ここでは証明などを省いてしまいますが、軌道量子数
で表される
次元の既約表現に対し、対応する
個の球面調和関数が得られます。
例えば、回転行列などの3次元の既約表現に対して、p軌道に対応する
の3つの球面調和関数は

と書かれます。2つ目の添え字
がマイナスから始まるのは、導出や量子力学における意味合いなどの都合によるものですが、
で
個が表せる便利な記法と言えます。
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